ロックアップ(キーマン条項)とは?設定の必要性や具体例を紹介!

「ロックアップ・キーマン条項って何?」
「どのくらいの期間を設定したら良いの?」

ロックアップ(キーマン条項)について調べていて、このようにお困りの方はいらっしゃいませんか?

近年は中小企業においてもM&Aが実施されるようになり、ますます身近なものとなっています。

しかし、M&Aにおける契約の中でも特に重要なロックアップについて、あまりご存知でない方も多いですよね。

そこで今回は、ロックアップについて、基本的な知識に加えて具体的な期間設定の仕方や事例を紹介します。

この記事を読めば、ロックアップに関する疑問はなくなりますよ!

ロックアップ(キーマン条項)とは?

ロックアップとは、M&A(企業間の買収と合併)の実施後も、売り手側の経営陣が一定期間は会社に残り、経営に携わることを義務付ける期間のことです。

経営上重要な人物が残ることから、キーマン条項とも呼ばれます。

M&Aにおいて、買い手は売り手の企業価値を把握した上、買収に費用対効果が認められると判断した上で行うことが普通です。

この点、買収後に前経営陣が会社から去ってしまうことにより、経営状態が悪化し、企業価値が下がってしまう場合があります。

そこでロックアップを設け、買収後も一定期間は前経営陣に引き続き経営を任せるこによって経営の安定を図り、企業価値の下落を防ぐことができるようになります。

(1)ロックアップは必要なのか

上に述べたように、ロックアップはM&Aの実施後の企業価値を維持し、安定した事業の継続を行うことに目的があります。

実務上も、M&Aの最終合意には双方の合意によりロックアップが設けられることが一般的です。

特に、M&Aの準備期間が短く、買収後の経営者がまだ決まっていない場合や、事業の性質上すぐに後続経営者の育成ができない場合などには必要性が高いといえます。

ロックアップによって会社に残留するのは、代表取締役や最高経営責任者など、経営陣のなかでも特にキーマンとなる人物であることが多いようです。

(2)ロックアップが不要な場合もある

しかし、ロックアップが必ず必要、というわけでもありません。

例えば、M&Aの実施により、前経営陣の労働意欲が低下している場合や、前経営陣の経営能力に不安がある場合などには、前経営陣の続投がかえって業績の悪化と企業価値の下落を招く恐れがあります。

こうした場合であれば、ロックアップを設けずにすぐに買い手側から後続経営陣による経営刷新を行う必要性が高まります。

ロックアップの期間はどれくらい

ロックアップは、前経営陣を会社に残留させ、新経営陣が事業運営のノウハウを引き継ぐことに意義があります。

そこで買い手としては、ロックアップの期間はその目的を達成できるために十分な長さを設定する必要があります。

一方、前経営陣からみると、ロックアップによって一定期間会社に残留することが義務付けられ、転職の自由が制限されることになります。

また、ロックアップの有無は、M&Aにおける買収価格に影響を及ぼします。

なぜなら、通常はロックアップによって前経営陣が経営を続投するほうが企業価値の下落が起こりづらい一方、すぐに新経営陣への交代が起こると企業価値の上下の予想が困難になるためです。

そのため、ロックアップの期間設定には、買い手売り手ともに慎重な判断が求められます。

(1)ロックアップ期間の長さ

ロックアップの期間は、23年程度に設定することが多いようです。

一般的に、事業規模が大きくなるほど期間が長期化する傾向にあります。

期間の長さは業種や前経営者の経営方針にも大きく左右されますが、少なくとも事業年度を何度か回せる期間を設定しなければ、事業運営の引き継ぎを行うことができません。

(2)ロックアップ期間の決め方

さきほど述べたように、ロックアップの期間を設定する際には、売り手側と買い手側それぞれの立場から慎重に検討を加える必要があります。

以下からは、双方の観点に立った理想的な期間の設定方法について紹介します。

#1売り手側

売り手側としては、ロックアップの期間は出来る限り短いほうが良いでしょう。

前経営者の個人的な側面にのみ注意するならば、自由が阻害される以上、ロックアップはむしろ無いほうが理想的であるともいえます。

たとえM&A時には「会社に残留して経営に携わり続けよう」、という意思があったとしても、経営方針や社内環境が変化していくなかでモチベーションが維持できるとは限りません。

そのため、売り手としてはやはり長くても3年程度の期間に収めるように買い手と交渉するようにするべきだと考えられます。

#2買い手側

買い手としては、ロックアップの期間は何よりも前経営者からノウハウを引き継ぐことができる期間を予測して設定する必要があります。

期間が短すぎると十分に引き継ぎを行うことができず、長すぎると、モチベーションの低下していくキーマンがかえって経営上不利益をもたらす恐れがあるため、注意しなければなりません。

そのため、買い手にとって理想的なロックアップ期間とは、事業承継の引き継ぎのための必要最低限の時間、ということになります。

ロックアップを定める上での注意点

ここまで、ロックアップの概要と、M&Aにおいて果たす役割について紹介してきました。

ロックアップについては、期間のほかにも、競業禁止条項やアーンアウト条項の有無など、考慮すべきポイントが多数あります。

以下からはロックアップを設定するにあたって、双方が注意すべきこれらのポイントについて紹介します。

(1)売り手側の注意点

売り手側としては、以下の3点について注意する必要があります。

  1. ロックアップの有無
  2. ロックアップの条件
  3. 競業避止義務の有無・条件

以下、それぞれについて説明します。

#1ロックアップの有無

まず第一に、ロックアップの有無自体について考慮する必要があります。

さきほど述べたように、ロックアップの有無によってM&Aにおける売却価格が変動します。

ロックアップを設けたほうがより高い売却利益を見込める一方、ロックアップによってM&A後も会社に縛られるという不利益を被ることになります。

そのため、ロックアップの有無に関して考える際には、売却益と自由との比較考量をして決定をするようにしましょう。

#2ロックアップの条件

次に、ロックアップを設定するとした場合、その条件や内容についても十分注意しましょう。

ロックアップの条件には、残留する期間だけでなく、役職や裁量権等の待遇についても規定されます。

M&A実施後は経営母体に変化がある以上、残留する経営者にとっては実質的に別会社に転職するとみることもできますから、こうした待遇については慎重な判断をすべきです。

#3競業禁止条項の有無・条件

最後に、売り手側が注意すべきポイントとして、競業禁止条項があります。

競業禁止条項とは、会社と競合する企業へ再就職したり、自ら起業することを一定期間禁止する特約のことで、違反した場合には違約金支払い等の制裁が加えられることもあります。

売り手としては、これまで培ってきた経験を活かして転職したり、売却益を元手に同様のサービスを立ち上げたいと考えることが普通ですから、競業禁止条項の存在はその足かせとなってしまいます。

この点、買い手としては、ノウハウ・人材の流出によって買収した会社の企業価値が下落してしまってはM&Aの失敗へと繋がるため、競業禁止条項をM&Aの契約に盛り込むことが一般的です。

そのため、M&Aの契約には競業禁止条項が設けられることを前提として考え、条項の有無よりもその中身に注意する必要があります。

すなわち、競業禁止の期間がどれくらいなのか、また、禁止される業務の内容や範囲について、専門家の意見を交えつつ交渉することが重要です。

例えば、競業禁止期間の起算点が「M&A実行時から」なのか、「ロックアップ終了時から」なのか等、細かい点にも十分注意して契約を確認するようにしましょう。

(2)買い手側の注意点

買い手側がロックアップに関して注意すべき点としては、会社に残留することになった前経営陣のモチベーションの低下です。

その問題を防ぐために、ロックアップに際してアーンアウト条項が設けられることがあります。

アーンアウト条項とは、M&Aの完了後の一定期間中、売却した事業・会社が特定の業績を達成した場合に、買い手側が売り手に追加の対価を支払うことを定めた条項です。

例えば、通常のM&Aでは100億円を支払うべき買収の場合、アーンアウト条項によってまず50億円を支払い、業績が良ければ70億円、悪ければ30億円を支払う場合などです。

アーンアウト条項により、買い手は本来の本来の企業価値よりも高値で買収するリスクを抑えられます。

このように、アーンアウト条項の本来の目的は、売り手と買い手の企業価値に対するズレを統一し、価格の決定を容易にすることにあります。

しかし同時に、売り手としてはより高値での売却を望むため、会社に残留した前経営陣に対してインセンティブを与えることができ、モチベーションの低下を防止することができます。

.キーマン条項の事例2つ

ここまで、ロックアップの概要と期間の定め方、注意点などについて紹介してきました。

それでは、実際にロックアップが設けられた事例にはどのようなものがあるのでしょうか?

以下からは、具体的な事例を2つ紹介します。

(1)弁護士法人のケース

弁護士法人や税理士法人など士業事務所のM&Aでは、ロックアップが設けられることが一般的です。

こうした業種では、顧客(顧問先)と各弁護士等とが深い関わりを持っている場合がほとんどで、ロックアップがなければ顧客が離れて企業価値が大幅に下落してしまうためです。

とはいえ、所属弁護士等を全員ロックアップすることはできないため、通常は事務所所長を2〜3年程度ロックアップします。

M&A後は経営陣(パートナー)や顧問等として事務所に残留し、顧客の引き継ぎを担当します。

また、ロックアップにはアーンアウト条項も設けられ、最初に一定額の対価が支払われ、一定期間が終了した際にM&A前と比較してどの程度の顧客が残ったかに応じて、追加の対価を支払います。

そうすることで、売り手はモチベーションを保ちながら事務所に存続することができ、買い手は顧客を維持(企業価値を維持)することができます。

こうした方策は、士業事務所だけではなく、経営者や従業員が顧客との深い関わりをもつ中小企業でも効果を発揮します。

(2)ロックアップを設定しなかったケース

料理レシピのコミュニティウェブサイトを運用しているクックパッド株式会社のケースを紹介します。

1997年に前身となる会社が設立された同社は、2012年に元価格コム社長である穐田誉輝氏を社長に招聘しました。

穐田氏の手腕のもと、クックパッド社は国内のみならずアメリカ・スペイン・インドネシアなど、4年間で9社ものM&Aを実施しました。

そして、穐田氏は「人の気持ちは買うことができない」として、M&Aに際してキーマン条項を設けない旨明言しています。

少々特殊な例ではありますが、このようにあえてロックアップを設定しないという選択肢もあります。

ロックアップの設定については、メリット・デメリットを比較し、その有無も踏まえて考えると良いと思います。

まとめ

今回は、ロックアップについて、期間の長さや、売り手・買い手双方の視点からの注意点、実際の事例などについて紹介しました。

ロックアップの有無や内容は、M&A全体の成否に大きく影響を及ぼす、非常に重要なものです。

M&Aをお考えの方は、ぜひこの記事を参考にして、ロックアップについて考えてみ

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