会社売却の基本をまとめました!これを読めば経営者として知るべき最初の1手がわかります
後継者不足のため、資金獲得のため、選択と集中のため、事業を大きくするため、シナジー効果を得るため、従業員の雇用を守るため、などの様々な理由で会社の売却を考える人は多いです。
特に最近は地方中小企業で後継者不足のため会社の売却を考える方が多くなっています。
世界に目を向ければ国家と同じ規模の会社が乱立していることや、今後の日本の人口変動を考えるとこの流れはさらに加速するのではないかと考えられます。
今の会社がどんな状態でも会社の売却を考える時が来ないとは言い切れません。
会社を売却する際には膨大なプロセスを踏む必要があり、情報量も多くどうしたらよいのかわからないという声を多く聞きます。
そこでこのコラムでは経営者が最初に知るべき最初の1手として
どのような手順を踏むべきなのか?
どのようなことに注意すればいいのか?
という点にしぼってわかりやすく解説します!
どのような手順を踏むべきなのか? 売却の流れを把握する
会社を売却する際の流れは
・自ら計画的に準備を行う「事前検討フェーズ」
・お互いの企業の価値を高めるように交渉を行う「交渉フェーズ」
・交渉結果を実現する「実行フェーズ」
の3つに分けられます。
会社の売却は通常の売買と比べて高額な取引になるだけでなく、従業員や取引先などとの関係を継承するという点で特殊です。よって多方面のリスクを考慮した慎重な検討が必要ですが、それと同時に情報管理上の問題、買い手の事業展開のスピード感、売り手の資金ニーズ、対象会社の財務状況などの理由から限られた時間での遂行が求められます。
(1)事前検討フェーズ
事前検討フェーズではまず
いつ売却するのか決めます。
どこまでの事業を今の体制で行い、どこからは行わないのか。取引先との関係はいつまでどのように持ち続けるのかなどを検討します。
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価値向上を行います。
次になるべく高い値段で売却できるように価値向上を行います。会社の価値としてどのようなものがあるかは後で解説します。
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次に売却方式の検討を行います。
方式には大きく分けて会社を売ることを公表して買い手を募集する方式と自ら買い手を見つけ話を持っていく二つの方式があります。
オークション形式のほうが高く売ることができる可能性もありますが、M&Aは金銭だけの問題ではなく取引会社、従業員、顧客など多くの人に関係する問題なので一定の売却候補から選択することが一般的です。
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最後に買い手との接触を行います。
この際には売却を検討していることが競合他社に知られないように、また買い手が上場企業の場合はインサイダー情報が生じないように投資銀行等の代理人を通して接触することが望ましいと考えられています
(2)交渉フェーズ
交渉フェーズでは売り手と買い手お互いの企業価値を見積もること、この取引によってどのくらいの利益を得られるのかを探ることがメインになります。この際に売り手側のほうが情報が多いため、買い手はデューディジェンスを実施することでその情報格差を埋めていきます。
売り手が注意すべきことはどちらかというと売却後のことです。売却相手によってシナジー効果を含めた適正価格は違うものになります。また、会社の内側にも目を向けなくてはいけません。売却事業の従業員の環境は大きく変化することが予想されるため、一人一人の反応も不安からより神経質なものになりがちです。丁寧な説明を迅速に行うことが必要ですが、一方で情報管理の観点からは取引公表前に情報を知っているものは可能な限り少数にするべきであり、情報共有のタイミングと範囲は慎重に検討する必要がります。
(3)実行フェーズ
デューディリエンスにおいて抽出されたリスクへの対応などの交渉の結果を具体的に買収契約書に明文化し詳細な条件を決定するのが実行フェーズです。
交渉時に曖昧にされたこと、理解に齟齬があったこと、社内調整プロセスで新たに生じた条件などが文書として交渉されることになります。
両社にとって買収契約締結はスタートに過ぎません。
買い手としては買収価格に見合った事業価値を生み出して初めて取引が成功したといえます。
売り手としては売却によって得られた資金余力を有効に活用できて初めて取引が成功したといえます。
このように3つの段階を経て会社の売却は行われます。しかし実際に行われることはここに書いてあることの何倍も複雑であり、かなりM&A経験のある企業でないとなかなか自社のみで行うことは難しいです。そのためM&A業務を行っている会社に委託することがほとんどです。
次からは注意すべき点を解説します!
注意すべきこと1 仲介会社とアドバイザリー会社の違いを理解し契約を!
上であげたM&A業務を行う会社には大きく分けてM&AアドバイザリーとM&A仲介会社があります。
仲介会社は両社から料金を受け取り、両者の落としどころを探すことをメインに動き、M&Aの成立を目標とします。
一方M&Aアドバイザリーは契約を結んだ会社のみから料金を受け取り、その会社の利益の最大化を目標とします。
このような違いから成功率は一般的には仲介会社のほうが高く成立までの期間は短くなります。一方M&Aアドバイザリーのほうが自社の経済的利益は大きくなります。
このような違いを理解し、どちらを利用するのか慎重に考えて決める必要があります。
注意すべきこと2 顧客や従業員も会社の重要な強み!
事前検討フェーズで考える自社の価値として会社の株価や負債などの金銭の面も重要ですが、それだけではありません。
まず取引先も重要なポイントになってきます。取引は信用が重要であり、取引先は一朝一夕に作れるものではありません。よって特に大手企業や優良企業に取引相手を持っていることは会社の強みになります。
取引先と同じように顧客や従業員も会社の強みになります。優良なファンとなってくれるような顧客、その業界その会社についての専門知識、特殊な技術を持っている従業員も新しく簡単に手に入れることは難しいので強みとなります。
注意すべきこと3 売却した後
会社を売却した後経営者、会社、社員がそれぞれどうなるか見てみましょう。
経営者は継続と引退の二つの選択肢があります。
近年増えている後継者を見つけるための売却では売却と同時に引退することが多いです。一方事業成長のための売却であればその会社をよく知っている経営者が継続して会社を運営する場合があります。また、経営者が引退するつもりでも引き継ぎ期間を設けスムーズに会社を運営するために売却後も一定期間だけと決めて経営者を継続する阿場合もあります。
会社は株主が変わるだけなので基本的には短期的に大きく変わることはありません。しかし将来的には事業展開や経営判断によって会社をつぶす場合もあります。また、会社売却時には株式だけでなく資産、負債、商品、サービス、契約、社名、知的財産権、取引先なども引き継がれます。
雇用契約は社員と経営者が結ぶのではなく社員と法人である会社が結ぶものなので雇用契約はおのずと継続されます。しかし株主や経営者が変わることで働き方、企業文化、給与、勤務場所、などもろもろも変更があることもあり、その変化を嫌い、自ら退職する社員も出てきます。とくに中小企業で創業時から経営者と働いてきた社員は退職を希望することが多いです。
まとめ
ここまで会社売却について、「基本的な流れ」と「注意すべき点」について解説しました。ただ、実際には会社売却において考えるべきことや手順は膨大にあります。売却準備中にも通常の業務を行わなくてはいけないことや、特殊な専門知識が必要なことを考えると、やはり専門家の方の力を借りることは必要なことになってくると考えられます。しかしすべてを任せてしまっては騙されてしまう可能性や損をしてしまう可能性もあります。自分でしっかりと勉強したうえで信頼できる人に頼むことが最も安全で確実な方法だと言えるでしょう。
会社売却について自分でしっかり勉強したい方、具体的な手法について知りたい方はこちらのコラムで徹底解説をしていますので参考にしてください。