財務デューデリジェンスとは?目的や調査項目は?疑問を徹底解説!

「財務デューデリジェンスって何だろう?」
「実務上はどのようなことが行われるのだろう」

M&Aやデューデリジェンスについて調べていて、このようにお悩みの方はいらっしゃいませんか?

財務デューデリジェンスは、その他数あるデューデリジェンスの中でも、最も重要なものであると言っても過言ではありません。

しかし、実際に財務デューデリジェンスでどのようなことが調査されるのかについて、しっかりと理解されている方は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、財務デューデリジェンスの目的や、実行する際のポイントなど、基本的な知識を徹底解説します。

この記事を読めば、財務デューデリジェンスに関する疑問はなくなりますよ!

1. 財務デューデリジェンス(財務DD)とは

財務デューデリジェンスとは、M&A(企業買収や合併)において、買い手が買収対象企業の財務・会計に関して行う調査のことです。

そもそも、デューデリジェンス(Due Diligence, DD)とは、買収価格の決定等、M&Aの最終的な意思決定のために行う情報の調査のことをいいます。

M&Aのプロセスでは、秘密保持契約を締結した上、買収対象企業から自社の情報が開示され、買手企業はその情報から企業価値や事業リスクを判断し、暫定の買取価格を決定します。

しかし、この開示された情報が常に正確とは限らないため、買手企業自らその情報の真実性を調査し、買取価格が適切であるかを判断する必要があります。

デューデリジェンスでは、今回紹介する財務のほか、税務や法務といったあらゆる分野についての詳細な調査が行われます。

2. 財務デューデリジェンスの目的

財務デューデリジェンスの目的は、買収対象企業の財務状況に関する調査を行うことで、企業価値や買収額など、M&A実行に関する意思決定を行うための情報を入手することにあります。

財務デューデリジェンスでは、主に過去の財政状況、現在の財政状態、損益状況の推移、また、今後の損益や資金状況の見通しなどの実態調査が行われます。

さらに、こうした帳簿上の数値だけではなく、簿外負債の有無や、帳簿体系の調査なども行われます。

時には金融機関による要請を受けて、行き過ぎた節税や決算状況をよく見せるために減価償却が未計上とされているなど、財務諸表が常に真実の財務状況を示しているとは限りません。

そのため財務デューデリジェンスでは、実態の財務諸表を作成し、買収対象企業の真実の財務状況を把握し、企業価値を把握する目的で行われます。

これらの調査には専門的知識が必要とされるため、調査は監査法人、公認会計士、税理士によって行われることが一般的です。

ここでは、財務デューデリジェンスの主目的の具体的な内容について説明します。

  1. M&Aの買収価格の交渉・決定のための調査
  2. 財務リスクの分析
  3. 利害関係者に対する説明責任

それでは、順に説明します。

目的1. M&Aの買収価格の交渉・決定のための調査

財務デューデリジェンスにおいて、最も重要な目的が、M&Aの適正な買収価格の交渉・決定のための情報収集です。

通常、M&Aでは、買収対象企業が自社の情報を開示し、買手企業はその情報を元に暫定の買収価格を提示します。

その後、買手企業がデューデリジェンスを行ない、その情報を基に買取価格の再設定が行なわれ、最終的な合意形成へと至ります。

すなわち、そもそもM&Aのプロセス自体、デューデリジェンスによる調査を前提に構築されているとも言えます。

財務デューデリジェンスでは、買収対象企業の財務状況・リスクを把握することで、価格交渉のために真の企業価値を把握することに目的があります。

目的2. 財務リスクの分析

財務デューデリジェンスは、買収対象企業の持つ財務上のリスク要因を把握する目的で行なわれます。

デューデリジェンス前に対象企業から開示される財務諸表等の書類からは、あくまで帳簿上の数値に基づいた判断しか行うことができません。

そのため、例えば帳簿外負債の存在や、取引企業との関係性等、書面上明らかでない財務状況を判断要素に加えることができません。

そこで財務デューデリジェンスを行うことにより、これらの財務状況を「見える化」し、買収価格の決定や、M&A実施の可否などを判断する考慮要素を増やすことができます。

目的3. 利害関係者に対する説明責任

財務デューデリジェンスを通じ、M&Aの実施について、株主等の利害関係者に対する説明責任を果たすことも目的のひとつです。

通常、M&Aには莫大な費用が掛かりますし、実施後すぐに肯定的結果が生み出されることも極めて稀です。

そのため、M&Aを実施する場合には、外部からの専門的知見によって、買収対象企業の財務状況をしっかりと調査した上、合理的なM&Aであることを説明する必要があります。

これは特に株主に対する説明責任として、買手企業の経営者に求められる善管注意義務の一環とされています。

財務デューデリジェンスでは、公認会計士等の専門家を通じ、財務諸表などを詳細に調査した上で定量的に企業価値を評価します。

ここで導かれた客観的な数値を示すことにより、M&Aに対する利害関係者の理解を得やすくなり、利害関係者の反発という危惧すべきリスク材料を減らすことができます。

3. 財務デューデリジェンスの流れ

ここまでは、財務デューデリジェンスの概要と目的について紹介しました。

それでは、実際に財務デューデリジェンスはどのような流れで行われるのでしょうか。

デューデリジェンスの局面は、限られた時間的・人的コストで最大限の調査結果を得る必要がある場合がほとんどです。

そのため、その実施にあたっては不必要なコストを避けるために、あらかじめしっかりと流れを確認しておきましょう。

大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 専門家への依頼
  2. 調査範囲の確定
  3. 資料開示請求・実地調査

以下、それぞれの内容について説明します。

(1)専門業者への依頼

まずは、財務デューデリジェンスを担当する専門業者(公認会計士、税理士、会計コンサルティング会社など)へ依頼をかけます。

財務デューデリジェンスを依頼する際は、M&Aに対応できる専門業者を選定する必要があります。

なぜなら、公認会計士等の専門家であっても、全員がM&Aに最適な戦略の提示などの適切なアドバイスができるわけではないためです。

例として、一般に通常の公認会計士は、M&Aの目的や、実施後の運営についての関心が薄い点が挙げられます。

つまり、間接人員の削減などM&Aのもたらす効果(シナジー)について分析する手法を確立しておらず、財務デューデリジェンスとして意義のある調査を行えない恐れがあります。

また、日頃の付き合いがあると、調査や報告に遠慮が生じ、純粋に客観的な調査にならない恐れがあるため、普段顧問契約を結んでいる専門家に依頼することも避けましょう。

なお、大手監査法人であれば安心、というわけでもありません。

大手組織であっても繁忙期でベテランが不在の時期であれば、小さな案件であれば経験の少ないメンバーによってチームが編成されることもあり、かえって非効果的な結果となる場合があります。

これらの理由で、デューデリジェンスやM&Aに関する調査に実績のある、専門業者に依頼することが望ましいと言えるでしょう。

補足ですが、M&Aでは財務以外のデューデリジェンスも同時に行う必要がありますが、法務や税務などそれぞれの専門分野が異なるため、個別に依頼をかけるのはコストがかかります。

そこで、M&A専門の仲介業者に一括して依頼する方法もあります。

(2)調査範囲の確定

次に、財務デューデリジェンスの対象となる調査範囲(スコープ)を設定します。

財務デューデリジェンスで調査すべき対象は財務諸表等の書類に加えて関係各所へのヒアリング調査など、多岐にわたります。

特に中小企業の場合、これらの書類等がきちんと整理されていることはむしろ稀で、調査の段階に至って所在不明の書類等が多数存在しており、その整理で時間を費やしてしまう恐れもあります。

そこで、限られた時間内で最大限の調査結果を出すためには、調査すべき範囲を事前に明確にし、効率的な調査を行う必要があります。

そこで、M&Aの目的や買収対象企業の特性に合わせ、どのような調査をすべきかを専門家のアドバイスを基にあらかじめ確定しておきましょう。

どのような調査項目が高順位にあたるかは、終局的にはM&Aの実施目的から導き出されます。

そのため、「何のためにM&Aを実施するのか」ということを改めて問い直し、その目的の達成のために何が障害となり得るだろうか、という視点から調査対象を絞り込むと良いでしょう。

(3)資料開示請求・実地調査

(2)で設定したスコープに基づいて、買収企業に対し、また提示されていない資料を開示するように請求します。

開示される資料は帳簿類や会計書類など膨大な量にのぼるため、その全てを送達してもらうことは現実的ではありません。

そこで実務上は、買収対象企業側の事務所等の一箇所に資料を集めてもらい、そこに専門業者が赴いて調査を行う方法が採られます。

企業規模にも拠りますが、概ね3日〜1週間程度に集中して一挙に調査を行うことが一般的です。

また、必要に応じ、専門業者が実際に買収対象企業に赴いて責任者等にヒアリング(マネジメントインタビュー)が行われます。

この時、対象企業の内部のみならず、取引企業や競業他社に対してもヒアリングが行われることがあります。

ヒアリングを行うことで、書面では判断できない項目を直接質問することができ、より具体的な調査が可能です。

4. 対象企業の性質に注意しよう

財務デューデリジェンスを行う場合には、買収対象企業の性質にも注意した上で調査を行いましょう。

対象企業が公開会社(典型は上場企業)であれば、財務デューデリジェンスの実施時期に注意しなければなりません。

財務デューデリジェンス実施の情報が外部に漏れてしまうと、対象企業の株式が一挙に売買され、株価が乱高下する恐れがあります。

また、公開企業である場合には、情報の取り扱い如何によってはインサイダー取引規制に抵触する恐れがあるため、情報の取り扱いには十分に注意しましょう。

一方、対象企業が中小企業である場合には、シビアな会計監査を受けている上場企業とは異なり、粉飾や会計処理ミスが多々見受けられます。

そのため、開示されている情報が誤っている可能性が非常に高く、財務デューデリジェンスにかかる時間も長くなる恐れがあります。

そのほか、取り扱う商材や保有資産の形式によって注意すべき財務諸表上の項目が異なるなどするため、対象企業のもつ性質に留意した財務デューデリジェンスを行う必要があります。

5.ユニヴィスグループのデューデリジェンス実例

これまでデューデリジェンスについて詳しく説明してきましたが、ここではユニヴィスグループのデューデリジェンス実例を紹介します。

以下の買い手、売り手によるM&A案件の例を紹介します。

  • 買い手:東証1部運輸企業
  • 売り手:国内旅行企業

国内の東証1部上場の旅客企業が国内の旅行業を営む企業への投資の際のデューデリジェンス及び株価算定を実施しました。

依頼から2週間で中間報告を実施し、3週間で最終報告を行いました。

デューデリジェンスは、財務デューデリジェンス、税務デューデリジェンス、労務デューデリジェンスを実施し、買い手の意向により事業計画の妥当性の検証を重点的に実施しました。

その他にもユニヴィスグループは以下の事例があります。

対象業種 算定目的 納期 報酬 提供業務概要
飲食業 株式取得 5週間 300万円 財務デューデリジェンス
人事に関する簡易調査
小売業 事業譲受 2週間 60万円 財務デューデリジェンス
ECサイト運営業 株式取得 4週間 180万円 財務デューデリジェンス
税務デューデリジェンス
ビジネスデューデリジェンス
教育研修業 株式取得 2週間 80万円 財務デューデリジェンス
ソフトウェア開発業 株式取得 4週間 200万円 財務デューデリジェンス
税務デューデリジェンス

6. まとめ

今回はデューデリジェンスの中でも最も重要な財務デューデリジェンスについて、目的や具体的な流れについて紹介しました。

財務デューデリジェンスは、M&Aの実施前・後における意思決定を円滑にするために不可欠なプロセスで、M&A成功の可否を握っているともいえます。

実際に実施するのはM&A専門業者が主体となりますが、財務デューデリジェンスの目的を共有し、より効果的な成果を出すためには、依頼者としても基本的な知識が欠かせません。

将来的にM&Aをお考えであれば、ぜひ財務デューデリジェンスについてしっかりと基本を確認しておきましょう。

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