キャピタルゲインの意味とは?課税や儲けた事例についても徹底解説

「キャピタルゲインって聞いたことあるけどどういう意味なんだろう」
「キャピタルゲインとインカムゲインの違いとは?」

このように考えている方は多いですよね。

この記事ではキャピタルゲインという言葉の意味から税金、事例について幅広く、そして詳しく紹介します。

この記事を読めばあなたもキャピタルゲインに関わる知識を網羅することができます!

1.キャピタルゲインとは

キャピタルゲインとは、保有資産を売却した際の差益のことです。

補足しておきますと、差益とは資産の売却金額から購入金額を差し引いた金額のことです。

ちなみに、キャピタルゲインは譲渡益とも呼ばれます。

逆に、売却金額から購入金額を差し引いたお金がマイナスになった場合の損失をキャピタルロスと言います。

保有資産には以下のようなものがあり、日々価値が変動し、その変動によって得をする人と損をする人がいます。

保有資産の例

  • 株式
  • 不動産
  • 投資信託
  • FX
  • 債権
  • 金、プラチナ等貴金属
  • ゴルフ会員権
  • 絵画

キャピタルゲインの言葉の意味だけでは分かりにくいと思うので以下、例を用いて説明していきたいと思います。

(1)株式投資の例

ある株式会社の株を100万円で買ったとします。

その価値が一気に2倍になったとすると、自分の保有している株の価値は200万円になります。

従って、キャピタルゲインはその差額の200万円-100万円=100万円になります。

このように、キャピタルゲインというのは価値変動により得られる利益のことを指します。

(2)不動産投資の例

あるマンションを10年前に1000万円で購入したとします。

購入した10年後の現在、価格は2000万円に増加しました。

ここで売却すると形だけは2000万円手に入るので、「利益は2000万円」としてしまいそうですが、キャピタルゲインは購入金額を計算に入れるので2000万円-1000万円=1000万円となります。

基本的に、キャピタルゲインは資本の形に関係なく、売却金額-購入金額ですぐに計算することができます。

2.キャピタルゲインとインカムゲインとの違い

インカムゲインとは、保有している財産によって継続的に得られる収入のことです。

インカムゲインはキャピタルゲインと違って含み損が発生することはありません。

ただし、利益はキャピタルゲインよりも少ないケースが多いです。

以下にインカムゲインの例を挙げておきます。

インカムゲインの例

  • 株式の配当金
  • 不動産の家賃収入
  • 投資信託の収益分配当
  • 外国為替取引の金利(スワップポイント)
  • 銀行預金や利付債券の受取利息

投資で利益を得る際にはこのインカムゲインも重要なポイントです。

特に不動産はインカムゲインが大きな収入を占めることになります。

不動産投資は、インカムゲインを目的とした長期的な投資が主流です。

3.キャピタルゲインの課税

キャピタルゲインを株式や不動産を例にとって説明しましたが、いずれも税金が発生します。

資産の種類ごとにかかる税金が異なるので注意しましょう。

以下、まとめて表にしたので早見表としてご覧ください。

分類 譲渡した資産 所有期間 課税方式 税率・備考
株式等に係る譲渡所得等 一般株式・上場株式等 申告分離課税 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
分離短期譲渡所得 土地等・建物等 5年以下 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
分離長期譲渡所得 5年超え 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
総合短期譲渡所得 土地等・建物等・株式等以外
(ゴルフ会員権、書画骨董品、金地金他)
5年以下 総合課税 課税額:総収入金額-取得費-特別控除※1
総合長期譲渡所得 5年超え 課税額:(総収入金額-取得費-特別控除※1)×1/2

※1 特別控除は最大50万円。

表だけだとわかりにくいと思うので、順に分かりやすく説明していきたいと思います。

(1)株式のキャピタルゲイン課税

株式によって儲けたキャピタルゲインには原則として一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が発生します。

ちなみに投資信託も株式と同じ税率です。

先程の例では、キャピタルゲインは100万円だったので、税金として徴収される額は以下のようになります。

100万円×20.315%=20万3150円

よって手元に残る額は以下の通りです。

100万円-20万3150円=79万6850円

実際は手数料などがかかるので少し低めの数値です。

なお、手数料は証券会社によって異なります。

#1:確定申告はどうなるのか

株式の所得は基本的には確定申告をしなければなりません。

しかし、確定申告をしなくても良いケースが以下の2つあります。

確定申告しなくてよいケース2つ

  1. 給与を1か所のみから受け取っており、給与所得及び退職所得以外の所得が20万円以下
  2. 給与を2か所以上から受け取っており、主たる給与所得及び退職所得以外の所得が20万円以下

これらのケースでは株式による所得税を払う必要はありません。

サラリーマンで、年末調整した給与以外に株式などで得た所得が20万円以下ある場合、それらに対する所得税を払う必要はありません。

一方、フリーランスの方や不動産のオーナーなどの場合には1円残らず確定申告しなければならず、上記のケースがあてはまらないのでご注意ください。

もちろん、いずれの場合も住民税(5%)の申告は必要です。

#2:節税対策

株式の利益が上記のケースに当てはまってしまう場合にも、手段があります。

株式の節税対策としてNISAという口座があります。

NISAはNippon Individual Savings Accountの略で、イギリスの個人貯蓄口座ISAをもとにして作られました。

NISAは、毎年一定の金額の範囲内で取引を行えば、たとえ20万円を超えたとしても株式等のキャピタルゲインが非課税になる制度です。

株式でコンスタントに稼ぐ方にとっては、20%という高額の税金がとられないのでお得です。

(2)不動産のキャピタルゲイン課税

不動産のキャピタルゲイン課税は場合以下の2ケースに大別されます。

不動産キャピタルゲイン課税2パターン

  1. 5年以下の短期所有の場合(分離短期譲渡所得)
  2. 5年越えの長期所有の場合(分離長期譲渡所得)

①のケース(分離短期譲渡所得)では39.63%(所得税30.63%、住民税9%)の税金がかかります。

②のケース(分離長期譲渡所得)では20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。

不動産は長期保有をすることにより節税することができます。

例えば、2000万円でマンションを買って、3000万円で売ったとするとキャピタルゲインは1000万円となります。

この際、保有期間が5年を超えている場合は税率20.315%、そうでない場合は39.63%です。

この時税金は以下のように計算できます。

保有期間5年以上:1000万円×39.63%=396万3000円
保有期間5年以下:1000万円×20.315%=203万1500円

よって、手元に残る金額は以下のように計算できます。

保有期間5年以下:1000万円-396万3000円=603万7000円
保有期間5年以上:1000万円-203万1500円=796万8500円

実際は手数料などがかかるのでこれよりも程度低い額になります。

ちなみに、不動産の手数料は以下の通りです。

手数料 金額
仲介手数料 売買価格×3%+6万円+消費税
印紙代 売買価格に応じて0~48万円
登記費用 登録免許税+司法書士報酬で2~3万円ほど

手数料が複数存在することに注意しましょう。

(3)金のキャピタルゲイン課税

金の場合、その売買によって得られた利益は給与所得と同じ枠である総合所得として計上されます。

金の場合、も以下の2ケースに分類されます。

金のキャピタルゲイン課税2パターン

  1. 保有期間が5年以下である(総合短期譲渡所得)
  2. 保有期間が5年を超えている(総合長期譲渡所得)

税率は給与を含めた総合的な収入によって変わってくるので上記の2ケースで分けることはできません。

ただ、金の場合は50万円の所得控除があるので、売買利益が50万円を超えなければ税金がとられることはありません。

また、金地金を計算するには一回総合所得の合計を求める必要があり、少し複雑です。

金地金の課税額を計算するには以下のようなステップを踏むことになります。

金のキャピタルゲイン計算法

  1. 金のキャピタルゲインを計算する
  2. 金のキャピタルゲイン額から課税所得を計算する
  3. 2で求めた課税額を金地金以外の所得に加える
  4. 所得税率を求め、2の課税所得から金地金のキャピタルゲインの分の税を求める

難しいので例を用いて説明します。

ここでは、給与所得が800万円のサラリーマンが15年前に500万円で購入した金地金を1000万円で売却したという設定で上記の計算を行っていきます。

#1:金のキャピタルゲインを計算する

まずは金のキャピタルゲインから計算します。

500万円で手に入れた金地金を1000万円で売り払ったので、キャピタルゲインは500万円となります。

#2:金のキャピタルゲイン額から課税所得を計算する

今回は保有期間が5年を超えているので総合長期譲渡所得として計上されます。

総合長期譲渡所得は短期に比べて計上される金額が2分の1になることがポイントです。

具体的に計算すると以下のようになります。

(500万円(譲渡益)-50万円(控除額))×0.5=225万円

よって、金の課税所得は225万円として計上されます。

#3:2で求めた課税額を金地金以外の所得に加える

この人はもともと給与所得として800万円あるので、225万円を合わせて合計1025万円の総合所得金額となります。

この総合所得金額が所得税をかける対象です。

#4:所得税率を求め、2の課税所得から金地金のキャピタルゲイン分の税を求める

日本は累進課税をとっており総課税所得が1025万円の場合所得税として33%の税金がかかります。

2で求めた課税所得は225万円でしたから、金地金投資によるキャピタルゲインにかかる税金は以下のように計算されます。

225万円×33%=74万2500円

よって金地金に関しては以下の金額が投資によるリターンとして残ります。

500万円-74万2500円=425万7500円

この際も本来なら売買手数料があるので実際の金額は異なります。

4.キャピタルゲインで大きく儲けた事例3つ

「株や不動産投資は危ない」とは聞くものの、独自のルールやメソッドで大きく儲けた人がいるのも事実です。

そんな事例を3つ紹介します。

例1:株式投資で儲ける杉原杏璃さん

利益が出るまで待ち続けるスタイルで株式投資を続け、儲けたという杉原杏璃さん。

5年以上売れない株でも辛抱して利益を出したといいます。

父親の影響で30万円という小さい元手で始め、利益が出ればその利益を投資金額に回します。

雪だるま式に利益を増やす戦略です。

これらの投資スタイルは全て独学で、元手の30万円を9年間で1000万円の利益を出したのには驚愕せざるを得ません。

株式というのはすぐに諦める人が多いですが、この例でもうかがえるように知識だけでなく忍耐強さも利益を出すためには不可欠ですね。

以下は杉原杏璃さんの公式ホームページです。

杉原杏璃オフィシャルブログ「Chu!」

例2:不動産で儲ける脱公務員大家さん

脱公務員大家さんはコラムニストで、現在は不動産投資によりコンスタントに10%以上の利回りを確保しています。

いかにして土地を安く買い、割安に新築物件を立てるかということに焦点を置くことで不動産投資を成功に導いてきました。

不動産投資というのはインカムゲインばかりに焦点が当てられ、売却までに頭が回らないケースが多いと言います。

確かにインカムゲインも大切ですが、キャピタルゲインでもしっかりとプラスを出していくこともかなり大切です。

不動産投資には様々なアプローチがあることを実感できる例です。

以下は脱公務員大家さんのブログです。

公務員が不動産でリタイヤするまでのブログ

例3:金地金投資で儲ける山本伸さん

現在経済評論家として活躍する山本伸さんは、純金積み立てによって利益を得ています。

純金積み立てとは毎月一定額を金の購入に充てるような投資法のことです。

手続きさえ行えば銀行で自動的に引き落としてくれるので管理がしやすいです。

山本伸さんは年率に換算すると2ケタの利回りを得ているようです。

金というのはあまり変動しないことでも有名ですが、この例のように、使い方や変動しやすい時期を考えれば金も十分に投資する価値があります。

以下は山本伸さんの公式サイトです。

投資評論家 山本伸「絆の会」

5.M&Aのキャピタルゲイン

キャピタルゲインというと、一般的には株式や不動産によるものを指しますが、M&Aでキャピタルゲインを稼ぐ方法も存在します。

M&Aは買い手となる会社が売り手となる会社の株式を所有する形で行われるので一種の株式投資と捉えることができるからです。

さらに、買い手会社が売り手会社の業績を上げ、それに乗じて株価が上昇すればそれによるキャピタルゲインが発生します。

M&Aで買収する株価は大量なのでこの場合株価上昇によるキャピタルゲインは高額です。

M&Aによって業績向上戦略がしっかりとれる経営者はM&Aで発生するキャピタルゲインを狙うことも可能でしょう。

実際にM&Aの手法をとって投資に成功した事例があるので以下2つ紹介します。

(1)企業再生機構の日本航空(JAL)の買収

2010年当時、日本航空は2兆3200億円もの負債を抱え、破産寸前まで追い込まれました。

高額な人件費、ジャンボ機の大量保有等で赤字を出したことが原因だったようです。

そこで、企業再生機構が日本航空を買収し各種コストの削減や採算の取れるプロジェクトを主導していくことにより、2012年9月に再び上場を果たしました。

その際に企業再生機構は上昇した株式を売却し高額のキャピタルゲインを得ました。

総額は6000億円を超えたと言います。

このように、企業再生機構は日本航空が自立できる環境を整え、業績とともに株価も上げることで一種の長期的な投資を成功に導きました。

(2)ベインキャピタルのすかいらーく買収

ベインキャピタルはファンドの1つで、すかいらーくを買収しました。

当時のすかいらーくは採算の合わない事業をしており、上場廃止を受け、経営は低迷していました。

その後、ベインキャピタルは当時のファミリーレストランすかいらーくを全店舗廃止し、皆さんおなじみのガストを創設します。

それから経営が改善し、すかいらーくは再上場を果たしました。

ベインキャピタルはその際に全株式を売却し、最終的に利益を獲得しました。

6.まとめ

キャピタルゲインに関する知識、事例などを紹介してきました。

キャピタルゲインというのは資産の価値変動により発生する利益のことでした。

また、現に株式や不動産、金によってキャピタルゲインを得ている人が存在するのも事実です。

そして、どれを選びどのように投資するかというのは目的や状況に応じて臨機応変に決めていかなければなりません。

それを適切に判断するためにも、世界情勢、日本情勢、投資状況などのリサーチを怠らないようにしましょう。

関連記事

  1. 第三者割当増資とは?手続きや株価の変化をわかりやすく解説!

  2. 事業譲渡とは?会計や税務上の手続きを基礎から徹底解説!

  3. 株式譲渡とは?税金や契約の手順・メリットとデメリットを徹底解説

  4. 繰越欠損金とは?M&Aとの関係や適用条件を解説【法改正に対応】

  5. 事業継承を成功させる秘訣!自社株買いのルールを解説

  6. 資本提携とは?業務提携との違いは?具体例を用いて徹底解説!