日本では珍しい食関連のCVC
Qまず事業について教えて頂けますでしょうか?
親会社は「オイシックス・ラ・大地株式会社」というところで、「Oisix」と、ECの通販を軸とした事業をやっている会社です。商品に関しては、食品、ミールキット、安心安全な野菜加工品などを販売している会社になります。「オイシックス・ラ・大地株式会社」は20年前のITがブームになったころに創業してEC通販をずっとやってきました。まだ自分たちもベンチャーなのですが、新しい商品を生み出したり新しいサービスを展開したりするなかで、自社だけでなく幅広く外のイノベーションを取り込んでいきたいと考え、「オイシックス株式会社」のころから投資を行っていました。しばらくそのままやっていたのですが本格的にやっていくにはやはりファンドの形態をとったほうがいいということでCVCという形でVCを立ち上げました。
CVCは「Future Food Fund」という名前でファンドをやっています。ファンド自体の目的としては、新しい技術や商品を取り込んでいきたいというのもあるのですが、私たちが持っている商品を売る場というものを提供したいということもあります。みんなで一緒に支援していくことでスタートアップが伸びる環境を作りたいと思っています。
Future Food Fundのファンドの強みとは
Qファンドの強みについて教えて頂けますでしょうか?
ファンドの特色としては食品に特化しているということだと思います。「食品 ファンド」で検索するとSEO対策をしてなくても上のほうに出てくるので、あまり競合のいない独自性の高いものなのかなと思っています。ファンドを組成したのが去年の10月なのでまだ出資しているのは4社です。総額では10億円から20億円で今投資が決まっているとこでは1億6000万円くらいです。ファンドの本数はこれが一本目になります。
Q投資先にはどのようなサポートをされていますか?
いくつかやっていますが一番大きいのは商品を売ることです。「クラフトマーケット」というスタートアップの商品を専門に取り扱うサイトをやっています。そこでスタートアップの商品を売ったり知名度を上げたりするという形で支援をしています。実際に我々もそこで売りながらテストマーケティングとしても活用しています。あとはスタートアップと既存の食品業界の橋渡しということもしています。なかなかスタートアップだけで既存の業界に行って話を聞いてもらうのは難しい状態なので。
ファンドメンバーと求める人物像
Qファンドのメンバーはどのような方がいらっしゃいますか?
ファンドのメンバーは今3人です。その中で投資経験があるのは社長の松本で、私は今まで商品の目利きをやってきていたので投資対象をビジネス的な面で見ることを担当しています。もう一人アメリカのほうの情報収集や投資を担当しています。近いうちにあと2人入ってメンバーは全部で5人になる予定です。
Qほかにメンバーの募集はされていましたら職務内容や求める人物像について教えて頂けますでしょうか?
運用経験のある方がいればいいなと思っています。うちのホームページでキャピタリストという形で採用を行っています。人物像に関しては幅広く事業を行っているのでざっくりなんでもできる人が良いですね。またある程度経験のある方がいいです。あとやはり一番の条件は食品が好きだということだと思います。
Q「Future Food Fund」から投資を受けるメリットとイグジットについて教えて頂けますでしょうか?
信頼と売り場を手に出来るというのが大きいと思います。実際に売り上げが増えたというお声もスタートアップの方から頂いていて、やはり事業シナジーを期待されているなということは感じています。イグジットについては食品でIPOというのはなかなか難しいと思うのでM&Aを中心に考えています。
食に関連することなら幅広い投資対象
Q家電やキッチンといったところも投資対象になっているのでしょうか?
なります。今ミールキットを販売しているのですが、まだ自分で調理しなくてはいけない段階です。でももし、例えば四次元コードなどと連動させて強火弱火をコントロールすることが出来たら料理の仕方自体もだいぶ変わってくるのではないかと考えています。他にも人手不足が深刻なのでサラダも車のように全部とまでは言わなくても半分くらいは機械で作れるようにならないかなど考えています。
Q投資はどのような形で持ち込まれることが多いですか?
ファンドになってからは取り上げていただけることも増えたので記事やニュースをみて来てくださる方が多いです。でもそれだけではまだ弱いのでイベントをどんどんやりたいと考えています。
Q投資対象としての業界は食分野だと思うのですが投資金額や投資ステージについても教えて頂けますでしょうか?
株式で1億円くらいです。エリアは日本が7割、海外が3割くらいです。ステージは基本はシード、アーリー中心です。ただ支援の仕方もちょっと特殊なのでその辺は結構フレキシブルにやっています。
投資をする際の重要なポイントとは
Q投資をする際はどのような点を一番重視されますか?
どれだけ商品やサービスが我々にとってシナジーがあるか、最終消費者にとってメリットがあるものなのか、喜ばれるものなのか、社会に対して貢献できるものなのか、社会課題の解決になるか、といったところを中心に見ています。あとは事業計画がきちっと立てられているか、社長の人柄、食としておいしいかなどを見ています。若干頼りないところがあってもそこは支援していくので大丈夫だと思います。
Q投資先業界と投資されるまでの流れについて教えて頂けますでしょうか?
食に絡んでいれば、という形で幅広くやっています。流れは普通だと思います。面接をして、事業計画を見てといった感じです。今後は「クラフトマーケット」を予選という形で使うことも考えています。
ぜひお話を聞かせてください!
Q最後に投資を希望されている企業さんや潜在の候補者さんにメッセージをお願いできますでしょうか?
ぜひ気軽に来てください。楽しくお話を聞かせていただきたいとも持っています。投資に至らなくても商品が良ければぜひ「クラフトマーケット」を利用してほしいと思っています。そこで事業を大きくして行ってまた投資させていただくということもあると思います。
日本で考えるとITのスタータップは比較的恵まれています。エンジェル投資家もたくさんいますし、IT系のVCもたくさんあります。「App Store」もスタートアップでも簡単に利用できます。でも一方で食関連のスタートアップはそういうことがとても難しい状況です。食関連のスタートアップにシード段階でエンジェル投資をしているところはまだまだ少ないです。アメリカだとビルゲイツだったりそういう人がたくさんいてどんどん投資をしています。またスタートアップの商品を売るところもたくさんあって消費者に触れることができます。
ファンドだけ作ってもうまくいかないと考えていて、環境づくりも会社として日本でもやっていきたいと思っています。
ありがとうございました!
投資対象 | |
食品関連の会社でシードステージもしくはアーリーステージが中心です。イグジットはM&Aを中心に考えています。 | |
対象業界 | 食業界 |
金額 | 1億円程度 |
出資形態 | マイノリティー出資 |
重視ポイント | 会社としてどの程度しっかりしているか、どのようなシナジーがあるか、最終消費者にとってメリットがあるものなのか、喜ばれるものなのか、社会に対して貢献できるものなのか、社会課題の解決になるか |
条件 | 食品に関連していること |
エリア | 日本7割、海外3割 |
投資戦略 | シードステージ、アーリーステージを中心に投資を行います。売り場と信頼を提供する形で支援を行います。 |
投資実行までの流れ | 面談を行い、その後に事業計画を見ます。将来的にはクラフトマーケットで選考を行う可能性もあります。 |
投資を希望される方へのメッセージ | ぜひ気軽に来てください。楽しくお話を聞かせていただきたいとも持っています。投資に至らなくても商品が良ければぜひ「クラフトマーケット」を利用してほしいと思っています。 |
採用情報 | |
キャピタリストという形で運用経験がある方を募集しています。 | |
会社名 | Future Food Fund 株式会社 |
職務内容 | ポートフォリオの運用を中心に幅広い業務 |
求める人物像 | 幅広くなんでもできる方である程度経験のある方。一番の条件は食が好きであること。 |