PEファンドは多くのお金を動かし社会に大きな影響を与えることができます。
その魅力から多くの人が応募しますが実際に職に就くのは難しいというのが現状です。PEファンドの採用について見てみましょう。
1.PEファンドの採用の概要
PEファンドの採用は基本的には新卒採用は行っておらず中途採用がメインです。この理由としてはメンバーの人数が少ないため、ポテンシャルがどの程度あるかということよりも即戦力として活躍できるかということに着目をして採用を行っているからです。では具体的にはどのような経歴やどのような能力の人を求めているのでしょうか
2.PEファンドが求めている経歴や能力
PEファンドに入る人の前職としては他のPEファンド、外資系投資銀行、戦略コンサルティングファーム、再生コンサルティングファーム、日経証券会社などが多くなっています。
この理由としてはPEファンドの業務の特徴が上げられます。PEファンドの基本的な方針は会社を安く買って高く売ることですが、この会社の価値を見積もるという作業がとても難しいものでなかなか身に着けることはできません。PEファンドは即戦力を求めているため、この会社の価値を見積もる能力をすでに持っている人を求めています。ゆえに前に挙げたような会社でM&Aや企業再生を行っていて何件も案件を見てきた人が採用されます。
例えば投資銀行のM&A部門では様々な財務分析の結果を表計算ソフトでまとめて体系化することをモデリングという業務を行います。これはPEファンドで投資先を選ぶ際に欠かせない業務のひとつとなります。また戦略コンサルティングファーム出身の人は事業会社の経営戦略や財務戦略、新規事業開発など様々なプロジェクトを経験があります。この経験は投資後にその会社の運営にかかわるいわゆるハンズオン投資の際に重要な能力になってきます。
英語面についてはファンドごとの差が大きく、投資委員会を英語でやるファンドではネイティブレベルの英語力を求められますが、一方で英語の簡単な文章が読める程度でも十分なファンドもあります。
概略をまとめると、PEファンドは会社の価値を見積もる能力を持っている人と会社の価値を上げる能力を持っている人を求めており、その結果他のPEファンド、外資系投資銀行、戦略コンサルティングファーム、再生コンサルティングファーム、日経証券会社などからの転職者が採用の大半を占めるということです。
3.PEファンドで特に必要なソフトスキルとは
経歴や能力といったいわゆるハードスキルは上記のようなものですがではソフトスキルはどのようなものが求められるでしょうか。
PEファンドの選考では上のような能力のほかにリーダーシップや、コミュニケーション能力、人から信頼を得る力などは重視されます。これらはどのような職業でも求められるものですが、PEファンドでは特に求められるものです。それはPEファンドに入ると投資先の企業の経営者や従業員とコミュニケーションをとることが多くなるからです。特に若くして年配の方や目上の方と接することが多くなります。その際に対等な立場で議論や交渉を行える能力が必要になります。
またPEファンドはベンチャーと似ているところがあるともいわれます。つまり与えられた仕事をこなすだけではなく自分から動いて仕事を取りに行く姿勢も大事になります。このことはPEファンドが20人から30人の少数精鋭で活動していることや給与が出来高制であることからもうかがえます。
4.PEファンドを目指す人の志望動機とは
どの職業でも志望動機は重要ですがPEファンドでも重視されます。それは1件の投資対象に対してイグジットするまで5年程度かかるからです。長い期間投資先にコミットし、時にはその会社に通い長期間かけて業績を上げることが求められます。そのため強い志望動機を必要とされます。
志望動機としては会社の経営に自分が責任をもって深くかかわりたいというものが多いです。投資銀行やコンサルティングファームのM&A業務ではM&Aを実行した段階でそのプロジェクトは終了し、その後その買収先の経営がうまくいくかどうかには関与せず責任も持たないことが多いです。一方でPEファンドでは投資先企業の株主として社外取締役などのポジションで事業会社の経営に携わることができます。そこに魅力を感じてPEファンドを志望する人が多いです。
5.PEファンドで行われる選考
PEファンドは採用人数が少なく、そのうえ優秀な人が数多く応募するため選考がとてもきびしいものとなっています。面接は最低でも5回ほど行われ、その過程で必ずモデリングのテストがあります。モデリングのテストとは財務モデルの作成能力を試すものです。
具体的に面接でよく問われることを見てみましょう。
1.過去のディール経験とその役割について
今までの経験の中でどのような役割を果たしてきたか、その中でどのような役割を果たしてきたか、困難に直面した時はどのように対処したかなどについて問われます。
2.転職活動の理由
PEファンドに応募する人は中途の人がほとんどであり、既に十分な実績のある人が多いです。その中で何故転職を希望するのか、なぜこのタイミングなのかということについて問われます。
3.なぜPEファンドなのか
プライベートエクイティ業務の理解度やプライベートエクイティ業務への熱意を問われます。一般的な解答としては今までM&Aに関わってきた中でより企業の業績を上げることに力を注ぎたいといったものが多いようです。
4.どのようにPEファンドに貢献できるか
PEファンドで働きたい理由を聞かれた後はその能力があるかどうかを問われます。過去の経験で手に入れた能力がどのようなものでそれをPEファンドでどのように使うことができるかを問われます。
5.PEファンドの業務において重要な資質はどのようなものだと思うか
PEファンドの業務をどの程度正確に理解し構造化できているかを問われます。
6.どのような投資を行いたいか
志望動機と重なる部分もありますがどのように働いていきたいかということを問われます。答え方としては技術はあるもののお金や後継者がいないため潰れてしまいそうな地方の中小企業に投資を行い地方活性を実現したい、などが一例です。
7.企業の買収金額はどのように算定するか
バリュエーションの基礎知識及び投資リターンを得るための買収金額の考え方を問うものです。どちらかというとハードスキルよりの質問といえます。
8.企業価値向上の源泉は何だと思うか
経済の知識と思想を問うものだといえます。正しい答えがあるというよりも自分の考えを聞く問だと考えられます。
9.PEファンドの成功事例は何か、またその理由とは
PEファンド業界のことをどの程度勉強しているか、またどのようなものを成功ととらえているかを問うものです。
10.十年後どうなっていたいか
キャリアプランをどのように考えているかを問うものです。一方で長期的にPEファンドへコミットできるかを確認する意図もあるかとも考えられるので必ずしも正直に答えるべきかどうかはわかりません。
PEファンドではこのような選考が行われ、前職で優秀な業績を上げている人でも簡単ではありません。選考の対策をしてくれるサービスも存在しているので気になる方は調べてみると参考になるかもしれません。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか、PEファンドを少し身近に感じてもらえたら嬉しいです。
他にもPEファンドに関する情報をまとめていますのでぜひご覧になってください。