株式会社ビジネスマーケット 表代表取締役社長インタビュー 

株式会社マーキュリアインベストメントの子会社として立ち上げられた企業

Q. 会社概要についてお聞かせください

株式会社マーキュリアインベストメントの子会社です。いわゆる事業承継と小型のM&Aで、『TRANBI』や日本M&Aセンターの子会社が運営する『Batonz』と同じ様にマッチングプラットフォームという形で運営をしています。オンライン上でソーシングできるというプラットフォームです。

Q.プラットフォームを立ち上げたのはいつ頃ですか?

2018年の3月です。1年近くフィジビリ等やらせてもらいながらやっていました。マーキュリアの中に私も籍を置きながらでしたね。

Q.その頃にこちらに移転されたのでしょうか?

ちょっと前後するかもしれないですけど、それぐらいのタイミングですね。PEファンドとは顧客層の異なる方々からの問い合わせも増えたので、分けました。

挑戦している企業の、事業成長を支援したい

Q企業理念をお聞かせください。

「志高き挑戦者にあらゆる機会を」です。挑戦者というのは事業をやっている皆さん、様々な挑戦をされている方々です。「なんとかしたいんだ」って言いながらもそういうチャンスを掴めない方々に、何かご支援の手を届けようという意味です。

「あらゆる機会を」というのは、事業承継だけじゃなくて事業を継続させていくためのご支援をしたい、という考えです。「成約したらそこで終わりでPMIとかはやらない」っていう会社さんがほとんどだと思いますが、弊社は事業成長を承継した後にお手伝いできるようなことをやりたいと考えています。

Q.同業他社との違いは何でしょうか?

差別化ポイントというか違いは、他社さんは成約のタイミングで手数料をいただくというモデルが主流ですが、弊社は手数料取らずにやっているので、そこが一番違いになるかと思います。

Q.PEファンドではなく、他のマッチングサイトとの違いは?

弊社の場合は、売り買いだけじゃなくて、まさに「あらゆる機会を」に応えられるようになっています。「事業承継はもう少し先でいいかな」と考えている方にも、「でも、足元の人材不足をどうしますか?」という風にご紹介できるように。

事業承継は今でこそ知られていますが、今すぐにと思っている人はほぼいないんですよね。でも、「人が足りないな」とか、「決算書ってろくに見たことがないな」というオーナーさんは結構いるんです。そういう人に色々な支援を届けられる、事業オーナーの課題を1つ1つ支援できるようなサービスをやっているのは、弊社だけだなと思います。

Q.PMIなど、成長に重きを置いてるという感じですね。

そうですね。PMIと、そもそも検討を始める前段階ですね。「将来どうしようかな」と考えている段階の人がモチベートされていくための施策みたいなものです。

例えば、資本業務提携の話を進めても「まだまだ元気だからうちはやらない」みたいに言う方に、「でも営業力ある会社と組んだほうが良いですよ」といったご提案をし、販路拡大のような形でご支援するっていう案件を組ませていただきました。

Q.相性とかもありますしね。

PMIの部分は当然やりますけど、繋いでいくっていうのがメインです。だからその前後で気付きを増やしていくようにしています。プラットフォーマーとしてできることを広げていこうっていう、そんな感じですかね。

他社とは少し違うやり方で成約実績を作り上げてきた

Q.成約実績は年間どのぐらいあるんですか?

この2年弱で3件は報告されています。今、基本合意までいったとか、交渉中のものが30件ぐらいありますが、成約までの精緻な数字は無料のマッチングサイトとして敢えて捕捉しないようにしております。

Q.基本合意に至るまでにも、マッチング等を行っていくのですか?

そうですね。売りたいという案件を乗せてくれると、アドバイザーさんか買い手さんから弊社に連絡が来るので、お互いの大枠のところのニーズに合致しそうかどうかの確認を相互にさせていただきます。そこで合致すれば直接つなぎ、それ以降のフォローはお願いされない限りはほぼノーケアです。

Q.御社の中で、マネタイズはどのように行っていますか?

オープンプラットフォームの中でマネタイズをしようとはあまり思っていないです。各都道府県の自治体も今、事業承継ネットワークや事業承継プラットフォームを持っていますが、システムではないんですね。でも、今は自治体さんへの事業承継のご相談も増えてきているので、そういう時に必要な仕組みを我々が全部クラウド上で作り、SaaS型でご提供しています。

Q.基本はインバウンドで、口コミで広まっていくっていうことですね。理想的ですね。

でも、本当はプッシュ型でもいけると思っています。M&A仲介みたいにプッシュ型をやって、そこで収益化するのも良いと思うのですが、弊社の場合はそこでインセンティブが生まれないので難しい。変わったビジネスモデルでやっているので、結果的にこうなっているという感じです。

案件を載せるのはM&A仲介業者さんが多いので、彼らが載せたいと思うプラットフォームを作るということを一番意識しました。それで、既存のサービスにないものに形をちょっとずつ変えていって今の形になったという感じです。Q.サポートは、マッチングなどがあると思いますが、サイトの改修などは行っていますか?

はい。 ユーザー様のお話を聞きながら、UXをどんどん改善しています。まだβ版なので、新しい機能やサービスとかをどんどん入れていこうと思っているタイミングです。

5年後、10年後、この業界はどのように変わっていくか?

Q.5年後、10年後についてどのような選択肢をお持ちですか?

例えば、うちが専用サイトとかで提供している案件には、海外の案件も多くあります。海外はイグジットすると言えば、「おめでとう」って言われる国なので、将来的にはそっちに寄せるようなプラットフォームにしようと思っています。その時代その時代のニーズに合うものにしたいです。

今は圧倒的マジョリティーが、「会社は自分」みたいなオーナーの方に株を動かしていただく、会社を譲ってもらうってことができるようなサービスの提供をしなきゃいけないと思っています。5年後はそんなことをやっていてもまどろっこしいって言われるんだろうなっていうような、そういう感じでビジネスプランを描いていますね。

Q.徐々にではあっても、イグジットして、「おめでとう」という文化に、日本もなっていくと思いますか?

私はなるだろうなと思っています。今の現オーナーでも、いわゆるイノベーターとか、アーリーアダプターみたいな人もいるじゃないですか。すごいおじいちゃんだけどパソコンしっかり使う方たち。そういう人たちは、別に教えられるまでもなく、自ら体得してそういう人になっていっていますから、現にもう起こり始めていると思います。

Q.まだマイノリティーなだけで、徐々に増えていくという予想ですね。

そう予想はしていますが、各社さんのお考えがあってのことなのではっきりとはわからないです。ただ、そうなるにはまだ早すぎるとも思います。なぜかと言うと、そう考えているのはまだアーリーアダプターだけで、マジョリティーとかレイトマジョリティーは「まだ先だな」っていう人たちばかりだからです。その人たちを動かさないといけないって考えたときに、いわゆるキャズムというか、落ちる局面が、今の普通のやり方だと絶対出てくると思っていて、そのときに適応できるサービスを考えています。

今後の課題について

Q.2年弱やってきたなかで、やってみて初めて感じる課題などはありますか?

やっていることがプラットフォームですし、システム屋なんですよね。なので、パッケージ化みたいなのを色々と考えています。でもやってみて分かったのですが、やっぱり100社あれば100通りのやり方があるので難しいです。

Q.個別の事情が多いですよね。

多いですね。ロングテールを攻める理論でいうと、ビジネスモデル自体シンプルだから、M&Aの案件を回すのもある程度シンプルで、「数をぐんぐん回して、その代わりコストを下げて点数を増やせばもうかるはずだ」っていうのが基本的な考えですよね。

でもM&Aは逆だなと思っています。なぜかというとビジネスのデューデリジェンスとかをやる時は大企業のほうが大変ですが、「基本合意後はもう相対だから他所と話しちゃだめよ」みたいな話は、当たり前に守ってくれます。でも小さい会社さんだと、気付いたらオーナーが別のところで話していて、「やっぱり売らない」ということが普通にあります。そういうのを見ていて、手数料取りにいっても苦労するだろうなっていうのを感じました。

Q.大きいディールを目指さないとなかなかマネタイズできないけど、そんなの5パーセントほどで、残りの95パーセントのほうがそういうマッチングの機会を望んでいるっていうのが現状ですもんね。

他社さんは大きいディールのFAやりながら、小さいものも社会貢献みたいな形でやられているのかなってお見受けするようなところもあります。それはそれで1つのやり方だと思います。でも弊社はそこで「FAはやらない」っていう宣言をすることで、現FAをやられている会社さんと競合しない形でのビジネス展開を目指しています。

立ち上げのときはアメリカの Biz Buy Sellという、年間1万件以上が売買されているサイトを参考にしました。でも Biz Buy Sell がうまくいくのは、イグジットすることになったら「おめでとう」っていう国だからなんですよね。なので、そういう国に提供するのはそういうサービスでいいし、そういう属性の方々が日本に増えてくれば、そういうサービスになると思います。急に欧米化はしないと思いますが、属性が変わりつつあると感じます。

Q.スピードの違いはあれど、そういうふうには流れていきそうな感じはしますよね。5年前、10年前と比べても全然違いますからね。

例えば、弊社で会社を買われた方と他社さんのプラットフォームで買われた方を比べると、前者はやっぱり、弊社のようなところで売買するのが普通になってるような気はしています。

Q.表社長、本日はお忙しいところありがとうございました!

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