この記事では投資関連の話でよく耳にするハンズオンという言葉とハンズオフという言葉について解説します。
また転職を考えてらっしゃる方向けの章もありますので是非読んでみてください!
1.ハンズオンとハンズオフの定義
まずはこの言葉の定義を説明します。
どちらもファンドが投資先、買収先の企業に対してどのように関わるか、どのように接するかといった手法を説明した用語です。
まずハンズオンから解説します。
ハンズオンは積極的に買収先の経営へ関与することを指し、特に企業再生を目指すPEファンドによくみられる手法です。あるいはコンサルティングファームから派遣されたコンサルタントが、クライアント企業の経営に直接参画する場合もこの言葉を使います。ハンズオンという言葉は教育用語として使われることもあるので紛らわしい場合は投資手法としてはハンズオン投資と呼ばれることもあります。ちなみに教育用語でのハンズオンは参加体験、実用的体験、インタラクティブ体験、実習、実験、体感など、体を使うことによる学習補助教育手法のことです。
一方、ハンズオフはハンズオンとは逆に資金を提供しても経営には直接手を出さず、買収先の方針に任せるという手法です。
どちらの手法が良いということはなくどちらにも一長一短があります。次はそれぞれのメリットデメリットについて解説します!
2.ハンズオンとハンズオフそれぞれのメリットとデメリット
ハンズオンのメリットとしては買収先の改革をスピーディーに行えるというものがあります。投資先の企業の経営状況が悪い場合は、経営責任者を送り込んで早々に体質改善を図るほうが、事業育成・再生も早く達成されやすいです。とくにPEファンドは経営状況の悪い企業を買収することが多く、一刻も早く経営状況を改善するために積極的に投資先の企業に関わり業績を上げていくことが多いです。
一方で、デメリットとしては買収先の社員との対立が起こりやすいというものがあります。買収先の企業の社員からすると規則や文化が突然変わり、環境になじみにくくなる可能性があります。たとえば、新しい経営責任者が事業の専門分野に明るくない場合や、何の代替案も提示しない場合は、対立が表面化するばかりでなく、ハンズオンの最大のメリットであるスピーディーな変革が実現できないこともあり得ます。これらを防ぐためには買収先に明確な目標を示し、改善方針を浸透させて理解を得ておくことが必要になります。
ハンズオフはハンズオンの裏返しなので、ハンズオフのメリットとデメリットはハンズオンのデメリットとメリットに対応します。
ここからも分かるようにやはりハンズオンとハンズオフに関してはどちらがいいとは一概には言うことができません。
どちらにも長所短所があるとわかったところで実際にPEファンドがハンズオン手法をとる際に注意するべきポイントを見てみましょう。
3.ハンズオンを行う際の注意点とポイント
ハンズオンのメリットデメリットでも取り上げたようにハンズオンではスピーディーに変革を行い、短期間で業績を回復させることも可能ですが、一方で買収先との関係性に注意を払わなくてはなくてはいけません。具体的には明確な方向性を定め徹底し、社内での行動基準を規律することが必要です。
素早く企業の業績を回復させるはずが逆に対立や混乱を招いてしまっては元も子もありません。そうならないためにハンズオン投資ではどのような点がポイントとなってくるのでしょうか。
まずハンズオンで企業の業績を回復させるには、事業の到達点をはっきりさせることが重要です。
ハンズオンの目標が明確でなければ、事業の育成や再生も、株式公開や新規事業も上手くいかず、投資先の社員との対立が起こってしまいます。急に事業の到達点が変われば毎日それに向けて働いていた社員は戸惑ってしまいます。経営責任者として舵取りを任されたのであれば、明確な目標を示し、改善方針を浸透させて社員の理解を得ておくことが重要です。会社として一つの方向に向かっていなければ事業を発展させることは難しいでしょう。
また、ビジネスパートナーとして事業にかかわっていくことが重要です。
投資家から出資を受けている企業の経営者の立場・関係は、意外とセンシティブな問題をはらんでいます。どうしても経営者の立場は、出資を受けているということで相対的に弱くなってしまうからです。特に企業再生を目指しての投資ではそれが顕著です。
出資を受ける企業の経営者は、新規事業の開拓や販路の確立、事業の再生などさまざまな場面で困難に直面します。
そのようなときに指示だけして責任を追及するのではなく、ビジネスパートナーとして経営者の良き相談相手となれば、スムーズな経営改善を実現することができるでしょう。
良好な人間関係というものはどんな局面でも欠かせません。
ここまでハンズオン投資をファンドが投資先に関わり業績を上げていくことだと説明してきました。では実際どのようにかかわっていくのかを次の章で説明していきます!
4.ハンズオンの支援の具体的内容
実際どのようにかかわっていくかはファンドや企業によるので一概には言えませんが、少し例を見てみましょう。
例えば、経営・組織開発支援については、ファンドの投資担当者が社外取締役として経営に参画し、事業計画の策定や取締役会の運営支援などを行います。
また、グループ会社を通じて経営幹部やミドルマネジャーの採用の支援も行うことがあります。このように経営方針面と採用面で支援を行うことが多いです。
ここまでは言葉について解説してきましたが次の章からは転職に関する話題を解説していきます!
5.ハンズオン支援と転職
現在の転職市場を見ると「ハンズオンでの経営支援を実現できるファームに行きたい」という希望を持っている方がたくさんいらっしゃるようです。
しかし転職既往者の方のイメージするハンズオンとファーム側の言うハンズオンの間にはギャップがあることも多々あります。
PEファンドが言うハンズオン投資は「投資先に経営をゆだねるのではなく、自らCXOなどを派遣し、経営に深く関与していくこと」であり、コンサルファームのハンズオンとは「戦略立案のみならずクライアント企業が成果を創出できるよう、実行支援まで深く入り込むこと」といえます。
一方、転職希望者の方々の持つハンズオン支援のイメージは「自らが支援先に入り込みその企業の経営改革を実現すること」ひいては「成果創出にコミットして支援すること」であることが多いです。
ここにギャップがあります。
PEファンドやコンサルティングファームは手段としてハンズオンを用いますが、転職希望者の方は目的としてハンズオンを考えてらっしゃる方が多いです。
このようなギャップに転職してから気が付くのではなくそれぞれのファームのスタイルについて事前にきっちりと情報を収集することが大事です。
ではハンズオン支援を行うのはどのようなファームなのか見てみましょう!
6.ハンズオン支援を実現するファーム
PEファンドの目的は決められた期間で利益を上げ、投資家へリターンすることです。ひとつ前の章でも述べたように、PEファンドにとってハンズオンは投資先の企業の業績を上げるための手段であり目的ではありません。コストとリターンを比較してハンズオンを行ったほうがいいと判断すれば行いますし、そうでなければ行いません。
しかしながら実際、PEファンドの中にはハンズオンで投資先を支援するファームも多くあります。
企業再生支援機構や産業革新機構に代表される官系のファンドはその存在意義からもマネーゲーム的な投資は行わず、投資した企業の再生・成長にコミットした支援を続けています、また自社でターンアラウンド部門を持つ地方再生ファンドなどもハンズオン投資の代表格といえます。
またハンズオン投資をしづらいと言われていますベンチャーキャピタルの業界においても、ひとりのキャピタリストが1社から2社だけを担当し投資先の支援に深く関与するファームがあります。
実際に投資先に行ってハンズオン支援を行いたいと考えている転職者の方はPEファンド、ベンチャーキャピタルなどの名前にとらわれすぎず、実際にファームがどのような支援を行っているかを調べることが重要だと言えます。
次に大まかな転職情報を見てみましょう!
7.ハンズオン型PEファンドの転職情報
必要なスキルとしては、コーポレートファイナンス業務、M&A業務、コンサルティング業務などが一般的です。
事業内容としては、ターンアラウンドコンサルティング、リストラクチャリングコンサルティング、人事コンサルティング、財務、法務、事業デューデリジェンス、成長戦略構築、実行コンサルティング、ファンド運用などが一般的です。
おおよそどのファームでも上記のようなスキルが求められ、事業を行います。
8.まとめ
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最後まで読んでくださりありがとうございました。